Gibsonが Firebird Xが重機で踏み潰すという衝撃の動画が公開され大炎上しましたが、どうやらFirebird X売れず大量の在庫を抱え倉庫に眠ったままとなっていたことは事実のようです。
そしてFirebird Xのスペックを確認してみるとその構造はあまりにも特殊で、廃棄するしかなかったというのも解って来ました。
重機で踏み潰すパフォーマンスはGibson自らが行ったのでしょうか?
何故売れなかったのか?
でこんな凄いスペックなのに何故売れなかったのでしょうか?
個人的に考察してみました。
新しい感、わくわく感が無い
ロボットチューナーやエフェクト内臓のギターはそれほど新しいものではありませんね。
またお披露目イベントでもGibson社員であるFrank Johns氏の演奏も保守的な感じ(フレーズも音も)ですので、発表時のインパクトもそれほど感じなかったのではと思います。
デザインがダサい(失礼)
カーデザイナーのレイ・ディートリッヒがデザインしたオリジナルのFirebirdのデザインには敵わない感があります。
塗装も、シックなテクスチャの落ち着いた赤と青でもっと若々しいカラーもあった方が良かったのではと思います。(ニトロセルロースラッカーフィニッシュしなくても、、、)
難解すぎる機能
まずギター側のノブやスイッチを把握出来ないですよね。
G-Node interface™側の操作なんてさらに謎です。
bluetooth接続もめんどくさそうです。
FBXのプリセットなんて65ページのマニャル読んでPCで編集、なんて出来ませんよね。
誰向けの音が出るギターなのか、、、
音のバリエーション的にはミニハムバッカーよりも、HSHの方が良かったような気がします。
アッシュボディ+メイプルネックなのでギブソンに求められている音が出ないような気がします。
チャンバーボディーが中途半端、セミアコな音出ないんですよね。
エフェクターは好みなので、結局使わないかも。
これほど多才なギターなのにトレモロ・ワーミバーが無いなんて、、、
充電する必要がある
リチウムイオンバッテリー交換式なんですね。いざライブでバッテリー切れなんて最悪ですよね。
アレンビックのようにXLRでの外部電源供給が出来ないのが残念です。
複雑なので壊れそう・特殊なので使えなくなりそう
壊れたら修理代金も高そうですし、ギターリペアショップでも手に負え無い気がします。
部品供給の保証はあるのでしょうか?10年後には音が出ないギターになりそうですね。(一応モジュール交換でアップグレード出来るような計画だったようですが)
結局高い
イニシャル価格は5000ドルとか4000ドルだったようで、、、レスポールのヒストリックコレクションが欲しくなります。
英語圏以外ではそもそも製品として販売出来なかったのでは?
膨大なマニュアルの翻訳作業やソフトウェアの言語対応が出来てないなったのでは無いでしょうか。
ソフトのアップデートやWinやOSXのアップデート対応も必要ですしね。
Bluetoothは電波を使う認証が必要ですし。
何故Firebird Xの大量在庫になってしまったのか?
スペックを見ると、Firebird Xの特殊性が理解出来ました。
よって新開発された専用パーツが必要で大量に外部発注し、他のギターへの使い回しができないので一気にFirebird Xとして製造する必要があったのでしょう。
なのですが予想に反し不人気となり倉庫に在庫の山となったと思われます。
ベーシックなギターではここまで在庫とはならなかったのではと思います。
で倉庫に保管するにしても資産計上と倉庫代も掛かります。
一方でギター製品はイヤーモデルですので、2年経過すると旧モデルになってしまいます。
安易に値下げするとブランドイメージに傷が付きます。
これらの悪循環からもう売るに売れない状態になったことが容易に想像出来ます。
何故重機で破壊する必要があったのか?
売れないとサポート体制の維持出来ないでしょうし、アップデートの資金も無いでしょう。
QA対応とかメンテナンスパーツ、さらにソフトのアップデート等のサポート体制も必要ですしね。
他の製品に作り変える(アナログギターにするとか)にしてもあまりにも特殊な構造なので無理そうです。
話題になっているように寄付したとしても、PCが必要だったり、バッテリー交換が必要だったりけっこう厄介な製品ですよね。
唯一の救いとしては、ちゅうと半端に売れなかったことで見切りを付けやすかったのでは無いでしょうか?
であるなら、旧経営者への抗議も兼ねて重機で始末するという、アメリカ人が好きなパフォーマンスが唯一の有効活用手段と考えたのでは無いでしょうか?
急進的なビジネスモデルによってGibsonが破産に追い込まれFirebird Xはその象徴であり無理してまでこれ以上世に出すのはマイナスである。
こちらはGibsonが破産することが噂されはじめた2018年2月のヘンリー・ジャスキヴィッツ氏へのインタビュー記事ですが、その時も現代のギターが1950年代を最高とする純粋主義を批判し、Gibosnは革新的な製品をリリースすることが必要であると答えられています。
“Gibson CEO Henry Juszkiewicz has continued his defiant response to reports of Gibson’s potential bankruptcy, blaming the company’s financial troubles on “problems with the guitar retail industry” and “purists”.”
Via ‘ Gibson CEO Henry Juszkiewicz: “Guitars from the ’50s are what the purists want, but we have to have something new and exciting” | MusicRadar (https://www.musicradar.com/news/gibson-ceo-henry-juszkiewicz-guitars-from-the-50s-are-what-the-purists-want-but-we-have-to-have-something-new-and-exciting)
- 業界は時間軸上で立ち往生している。
- オンラインフォーラムでは「純粋主義者」が非常に大きな声を持っている。
- 今日の子供たちは、1950年代の音楽はかっこいいと思うかもしれないが、1950年代以降変わっていない他の業界をはあるのか?
- 50年代のギターは純粋主義者が望んでいるものだが、新しくてエキサイティングなものが必要だ。
- イノベーションはあらゆるビジネスの一部だが、ギター業界はそれを嫌っている。
- Boogie Van Les Paul やModern Flying Vのリリースではソーシャルメディアでさままな反応があった、しかし、RDなどのリイシューモデルにはより肯定的な反応だった。
- これまでもFirebird X を含むGibsonによる革新の以前の試みと、Min-ETune(後のG-Force)ロボットチューニングシステムを搭載したシリーズも、物議をかもしていた。
ということで、ヘンリー・ジャスキヴィッツ氏はGibson破産寸前まで、急進的な考え方を変えずに、ユーザや業界を批判していたようですが、社内でも反対する声は高かったのではと予測できます。
結局、Gibsonは破産したことで、Firebird X の大量在庫はジャスキヴィッツ氏のミスリードの象徴として扱われたということでしょうね。
Gibsonのどのレベルの方が指示したのかは判りませんが、おそらく重機で踏み潰すパフォーマンスは社内への見せしめと高揚の為だったと思われます。
日本ではここ最近、社員やバイトさんが不謹慎な動画をアップして大炎上するという事件が続き、各企業の対策が進んでいるようですが、世界のGibsonがそれをやってしまったのは、本当に大失敗ということですね。
Gibsonの再建に少なからず影響を与えると思いますが、なんとか立ち直って欲しいですね!
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